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パリ・オペラ座のエトワール、アニエス・ルテステュのアデュー公演までを描い
たDVDが刊行された
「アニエス・ルテステュ、至高のエトワール」
”Agnès Letestu l’ apogée d’une étoile”
10月10日、鳴り止まぬ拍手に包まれてアデュー公演を終えたアニエス・ルテステュ。この日まで約3年をかけてマルレーヌ・イヨネスコが制作したDvD「Agnès Letestu l’ apogée d’une étoile」が完成し、12月9日、バスチーユの小スタジオで発表された。映像は『天井桟敷の人々』から始まる。キャリアの後半、舞台衣裳デザインも始めたアニエスが初めて手がけた大作だ。撮影されたのはジョゼ・マルティネーズのアデュー公演。自分で創作した作品を彼がたった一度だけ踊るパートナーは、もちろんアニエスである。このようにアーチストとしてのベターハーフと互いに認め合う二人の舞台で始まるDVDは、見る者を最初から感動の世界へと誘い込む。
過去にも『アニエス・ルテステュ 美のエトワール』を制作したマルレーヌ。アニエスとの信頼関係から生まれた貴重なDVDといっていいだろう。『白鳥の湖』の古典から、キリアンやフォーサイスの現代作品まで、アニエスがいかに幅広いレパートリーをこなし、エトワールという肩書きに恥じない仕事をしてきたダンサーであるかを証明するように、アニエスのキャリアを彩った作品の数々の映像が含まれている。
また長時間にわたってのアニエスへのインタビュー、そして彼女のバレエ人生に対する貴重な証言がジョゼ・マルチネーズ、ステファン・ビュリョン、ブリジット・ルフェーヴル、ジョン・ノイマイヤー、ウィリアム・フォーサイスらの口から語られ、興味深い。アデュー公演で舞台に一瞬姿を現し、バンジャマン・ミルピエ新芸術監督と間違われたアニエスの私生活のパートナーも登場する。DVDの締めくくりは、もちろんアニエスのアデュー公演となった10月10日の『椿姫』。舞台の抜粋に続き、ゴールドの紙吹雪の中、感動をこらえながら観客の拍手に応じる彼女の姿は、美しいの一言に尽きる。
発表会場にはアニエスの両親、ローラン・イレール、ステファン・ビュリョン、デルフィーヌ・ムッサン、それに多くの後輩ダンサーが集まった。引退といっても、オペラ座と無縁になったわけではなく、12月公演『眠れる森の美女』ではソリストの指導にあたっている彼女。その見事な成果を舞台で見せたオードリック・ブザールとローラ・エッケの姿もあった。
映写終了後、エトワールという肩書きを責任をもって全うし、その経験をもとに新しい人生に踏み出したアニエスに、会場からまるでアデュー公演のときのように大きな拍手がおくられた。
このDVDは、現在パリ市内ではオペラ座のブティック(ガルニエとバスティーユ)で35ユーロで販売中。日本では3月のオペラ座東京公演会場にて、販売予定とのこと。また、マルレーヌの前作『バレエに生きる〜パリオペラ座のふたり』のように、この新作の劇場公開も検討されているらしい。